EV(電気自動車)のエネルギー効率の懸念

 EV(電気自動車)が大きな注目を集めています。ひと頃は燃料電池カーとか水素燃料だとか騒いでいたのが、イマはリチウムイオン二次電池のEV一色にとなっているのです。

なぜ、EVなのでしょう?
エネルギー効率がいいのでしょうか?
 ガソリンエンジンの自動車のエネルギー効率は、一般に16%程度だそうです。この定義は燃焼による熱エネルギーがどの程度、運動エネルギーに変換されたということなのでしょう。
http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/CarEnergy21.htm

ところで、EVのエネルギー効率は40%なのだそうです。

 電気自動車を最新式のコンバインド・サイクル火力発電から取り出した電力で走らせた場合,総合効率は30%程度とガソリン車の2倍に達する。しかも電気自動車は制動時に運動エネルギーを回生でき,アイドリングも必要ない。それらを勘定に入れれば総合効率は40%程度と見込め,ガソリン車の3倍近くになる。

 http://techon.nikkeibp.co.jp/article/WORD/20060418/116212/ より


 このコンバインドサイクル発電とは、ガスタービン発電と蒸気タービン発電を組み合わせた発電方式だそうで、要は最新鋭の火力発電なのだそうであります。
 よくわからないが、送電ロスはここには含まれていないようですね。しかし、それをコミにしても、EVのほうが効率は2倍以上で、かなりヨサゲであります。

 何よりも集中発電(火力発電所に燃焼場所を集中化すること)により、燃焼による炭素排出量を大きく低減させることが、もう一つの、そして最大の利点であるとこは、言うまでもないことなのでしょう。

 おそらくは、EVの生産方式も効率化されそうだと言います。内燃機関と駆動機関の両者に関わる精密部品を多数製造し、組み立てる手間が大きく変更されるのです。
 こちらのサイトによれば、

一般のガソリン車の部品点数が仮に3万とすると電気自動車は約1万点で出来ると言われている。

 これらが、バッテリーとモーターと制御機器になることで、電気製品化されます。量産するのも自動車工場よりは小規模な生産設備の工場で済むことになりそうですね。
 ということで、異業種が多数参入することになり、トヨタやホンダなど在来の自動車メーカーは浮き足立っているのでしょう。

もう一つ、リチウムイオンバッテリーの弱点を紹介しておこう。
このサイト(http://www.baysun.net/ionbattery_story/lithium10.html)からの要約である。

 ・電池を高温の場所に放置しない(満充電状態で高温の保存が、リチウムイオン電池は非常に有害)
 ・寒冷地での性能がヤバい可能性がある(放電の温度変化をみれば、高温よりも低温 0°Cでの性能劣化が大きい)


 たしかに、EVはいいことだらけに見えます。大量生産の問題やバッテリーが高価であることなどを差し引いても普及は時間の問題であるような感がある。*1
 だが、バッテリーというものがどこまで安く高性能化できるか、少々不安があります。それにバッテリーのリサイクルや環境負荷にも疑問があります。電池と同様に使わないでほっておけば放電してしまう。さきほどのエネルギー効率に放電ロスはカウントされているのでしょうか?
 リサイクル料金が高いモノになる可能性はないでしょうか?
 このたびの大津波で冠水したクルマの解体作業が危険だと報じられてましたが。
大雨や高い湿度の時の漏電や放電などはどうなるのでしょうか?
 それに高温時や寒気の時期にはエアコンやヒータで思いの外、電気を食う。そのため、走行距離が著しく低下するそうです。おまけにモーター(とくにその磁石が)は外気温度が高温になると性能が劣化します。夏の暑い時期にボンネットがどれほど高温になることか!

 未知の商品に対する運転者の疑念は、これからの実用化大衆化によって続々とうまれ、解消されることにはなるのでしょうね。

電気自動車 市場を制する小企業群 Small Hundreds (Mainichi Business Books)

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*1:この両方は日本が得意なのだそうです