NHK『貧者の兵器とロボット兵器〜自爆将軍ハッカーニの戦争〜』は現代の断層をまざまざと見せつけてくれた。
タリバンの自爆テロ戦法は無知な若ものを洗脳して人間爆弾にしたててしまう。他方、米国側は兵士の安全のためと称して無人ロボット兵器で山中のタリバンをボタン一発で遠隔で殺戮する。
タリバン側は若ものを道具・消耗品として自殺に駆り立てる。これは事実であろうけど半面でしかないだろう。多くの若者は殉教者となることを信じて死地に赴くのだろう。かつてのカミカゼ特攻隊の若ものたちもそうであった。
米国側の論理も分かる。相手側の非人道的な攻撃に無駄に人命をさらしたくはないであろう。だからといって遠隔攻撃で誤爆される市民はたまったものではない。タリバンだって人間だし、ロボットにむざむざとやられるのはアンマリだ。
だが、わざわざ道義論をいいたいわけではない。ここで指摘したいのは、人間のロボット化である。感情を押し殺した自動機械を両陣営は製造しているのだ。アメリカ軍もタリバンとも変質しているのだ。ロボット化といってもアシモフのロボット工学三原則にハナから違反しているのに気がつかないようだ。
かくいうわたし、平和ボケ人間も無傷ではいられない。そういってお茶の間で批評にふけっている日本人は人間のロボット化に一番近い国民なのだろう。
これを見給え。
ここで起きている事象は、
ロボットの人間化であり、人間のロボット化である
人間側の精神も変容していくのだ。
「このロボット人間以上じゃない」といいつつ介護や福祉、看守や兵士に成り代わっていくのであろう。
ロボットアニメで育ち、フィギィア好きでメイドを生み出したお国柄ではある。
この書物はロボット化するアメリカ軍のアリ様を余す所なくレポートしてくれる。メキシコからの不法移民にすら、プレデターを投入しようとする。
- 作者: P・W・シンガー,小林由香利
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2010/07/24
- メディア: 単行本
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