代数的数というのはn次方程式の根を指します。
お題は円周率のような超越数を平方根とか立方根とかで近似してみようという発想。かなり以前に、平方根の中身n/mという分数で近似精度をあげてみたこともあります。
その時は、ふつうの連分数近似に負けてました。「負ける」というのはmやnが巨大数なのに近似精度が悪いという意味です。
この近似の意味を再度説明しておきます。
二乗根、三乗根、四乗根と根号の中身が分数であるような円周率の近似数列を構成してます。
二乗根の場合は次のようなn/mという分数を連分数の手法で探し出します。連分数展開は2個目で打ち切りとしています。それ故に1/mの分数しか現れないのです。*1
二項目の1/49がでてきます。円周率の近似値は「3.14286」程度ですね。
次項の三乗根ではこの分数q/pを計算します。一番近い分数を求めているのです。
近似分数の1/494600507が出てきます。
三乗根までの和の値は「3.141592653589565957574132」です。12桁まで正確。
では、結局46桁まで円周率と一致してます。たった4項目でここまで一致したのは立派ですが、
3.141592653589793238462643383279502884197169399375105821
「374755768006676887406843862939865865646538668332700」という巨大数はいただけないですねえ。
規約分数のペアの作る点を表示します。1,1/2,...3/4,5/6,....4/7...,10のような分母分子の数が1から10であるようなすべての分数の二次元点集合です。
同じペアに平方根を作用させると縮小します。点の数は同じです。
重ねてみましょう。
この図で何が言いたいのか。平方根を加えると分数だけより近似精度が高い数値を求められるんじゃないの、みたいなことです。これからすれば、円周率に近い精度のいい数値を、1から10の数字の組合せだけでも算出できるはずです。
ところがそうはならない。
上記の代数的数の密度は有理数の密度と同じ、つまり、アレフ・ヌルなのでしょう。
【追記】
スモークマン氏のご要望の拡大図。三乗根や四乗根を重ねあわせてゆけば何か出るかもしれません。
- 作者: 和田秀男
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1981/07/10
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る