話題の「Googleが選ぶ20世紀の名著100選」
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英語文化圏のなかなので、フランス系の現代思想が影が薄いのはしょうがないにせよ。
他を圧して一番なのはトマス・クーンっていのは意味深長ですね。
この数十年「変化だ!進化だ!迅速に改革だ!」って走り続けた、そのかけ声の一つが
パラダイムシフトだったような気がしてきます。今になって経済が減速してグローバリゼーションって
何だったの、という風が吹いてくると、その感がひとしおですね。
亡きクーンが捨て去ったパラダイムが妖怪のように一人歩きした20世紀後半でした。
- 作者: トーマス・クーン,中山茂
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1971/03/06
- メディア: 単行本
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実はトマス・クーンにとってパラダイムは禁句になりかける。その逸話は野家啓一の
「パラダイムとは何か」に記載されている。
1965年の「批判と知識の成長」シンポジュウムが開かれ、そこで(ポパー派により)袋叩きにされるのだ。
なにせ「科学革命の構造」でパラダイムが21もの異なる使い方をされているなどクーン自身にも引け目がある。クーンはその主張を曖昧かしていかざるを得ない。
パラダイムとは何か クーンの科学史革命 (講談社学術文庫 1879)
- 作者: 野家啓一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/06/10
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だが、パラダイムは科学哲学を超えて生き残り適用範囲を拡大してしまった。
革命の代りにパラダイムシフトを置き換えるのが、世の習いである。