人間関係のマイクロトレンド

 草食系男子なる種族が繁栄しているとか。これをマーケティングの眼でみると
どう解釈するかを書きつらねます。
 草食系が増える背景は男性の経済力が低下して、相対的に女性に近づきつつあるからではないか。
 年収300万時代あるいは非正規社員化のあおりを受けて、20〜30台男性は経済力がない。彼らは余力がある女性に接近しようとするだろう。
 男性は「ひも」いうよりも女性に卑下して養われる立場に転じてしまう。女性を操る力のないヒモだ。いうなれば「ビニールひも」とでもいうべきか。
 独身女性はこうした不甲斐ない男性を尻目に余剰資金を不動産に回すなど積極的な資産形成をはかるだろう。能動的な独身女性が増大する。
やり手の女性なら、子どもを作っても生計を維持できるように人生設計して、父親不用のシングルライフを構築してしまうんじゃないか。
こうした種族を肉食系女史というのかもしれない。晩婚化も付随するだろう。

 男女関係は経済状況によって大きく変化していく。と同じく、親子関係も変わる。男性がイクメンとして子どもの養育に関われる両親がいる家庭はどちらかと言えば、幸福な家庭といえよう。母子家庭や父子家庭は教育弱者になりがちで、子どもに十分な成長機会を与えられない。
土日休める父親の存在も子どもにはプラスとなる。
離婚を繰り返す親をもつ子どもは自身もそうした轍を踏む可能性が高くなろう。
離婚率の高まりは良いことではないだと思う。

定年退職した人が就労している。こうした人びとが増えることが予想される。当人たちにとっては新たな生きがいとなり健康維持にもなる。その一方で、若ものの就労機会を奪っていることになるのは人生の皮肉だ。
ガテン系女性も珍しくなくなってきた。工事現場の交通誘導係、タクシードライバー、トラック運転手にはかなりの数がいるだろう。

中流の没落。アメリカではリーマンショック以降、中流家庭の破産やホームレス化が急増している。リストラによるもの、医療保険が払えなくなったもの、受託ローン破産はもちろん、カード破産も相変わらずだ。
日本でもそうではないか?中流の没落は政治的な不安定性を招く。


 こうした勃興するマーケティングセグメントを注意深く拾い上げることは重要な社会情報分析であり、ビジネスインサイトになるのだ。
その意味で、マーク・ペンの『マイクロトレンド』はアメリカという鏡見を通して日本を見つめる道具になる。

マイクロトレンド―世の中を動かす1%の人びと

マイクロトレンド―世の中を動かす1%の人びと