子供が風呂を嫌うわけ

 大人になると仕事帰りに一風呂浴びるのが楽しみとなる。一日の疲れをほぐすというか洗い流す感覚がある。
それに引換、大半の子供は風呂が嫌いである。嫌いとまでいかずとも入るのを面倒がる。
 これは、なぜかというに、子供は、大人のミソギ感覚がないからだと思う。外で見に染み付いたケガレを水で
清めることで、大人は生まれ変える心持ちがする。
 子供は、逆に、外で身についた経験を忘れ去る。一日の初めに戻る必要性は子供にはあるまい。大人だけがその日の出来事からのがれ、リセットするために水により洗い立て、記憶の一部を忘れ去儀礼とするのだろう。
 同様に、眠りも子供には敵対的なところがある。赤ん坊は、眠くなるとむずかるのが、その典型だ。眠気は不愉快な経験なんおだろう。大人には眠気は不快なものではない。それを差し止めざるを得ない時は不快だろうが、眠気に身を委ね眠りに陥るのが許される場合は、「心地よい眠り」を選択するのが常であろう。
 子供にとっては、というより赤子には、眠気はどうやら至極不快なものであるらしい。不機嫌さが証拠だ。どうやら、意識を中断されるのが彼らには不本意であるようだ。