ピュタゴラス主義とは

 古代ギリシャで数の形而上学をうみだしたのがピュタゴラスとその学派なのだけれど、その正体は謎に包まれている。直伝の書物が伝わっていない。幾つかの断片とプラトンの対話篇とアリストテレスの要約などから、推測するしかないようだ。
 読み物として面白いのは、文庫版もあるディオゲネス・ラエルティオスの『哲学者列伝』だろう。
河のカミから呼びかけがあっただの、太ももが金属製だったとか、同時に二箇所にいるところを目撃されたなどの説話がある。
 ヒースの『ギリシア数学史』にはそんな怪しい伝説は出てこない。ピュタゴラスの定理、無理数の発見、5つの正多面体の確定(正十二面体を見つけたとか)などを秩序正しくまとめているだけだ。
 結局のところ、ブルバキのような数学者集団というのではないのは、確実なところ。
この教団の奇妙な仕来りについては左近司氏の『謎の哲学者ピュタゴラス』が、余すところなく暴露してくれている。

 異星の知性についても、おそらくは、ピュタゴラス学派が最初に考えたのではないかと思う。10は完全数として特別な価値のある数であった。テトラクテュスという。
 ところが、重要な天体は水星、火星、金星、木星土星と月・太陽・大地=地球と恒星天で9個しかない。十番目の星を「アンティクトン」=対地球として導入した。
地上で起きている正反対の事象が起きている星なのだ。対称性のために導入した惑星というわけである。
 この理屈は現代宇宙論素粒子論の最先端とそれほど差がないのではないかなどと考えてしまうのは、ひねくれ者のあかしだろう。

謎の哲学者ピュタゴラス (講談社選書メチエ)

謎の哲学者ピュタゴラス (講談社選書メチエ)