フリント級数に見習うと

 ピックオーバーの数学エンタ『オズの数学』(産業図書)は面食らう数学パズルが多い。娯楽パズルと計算力パズルと実験数学が入り交じっている。

 フリント級数もどれともつかぬトピックスであろう。

三角関数のなかにナマの自然数が入り、自然数の三乗とかけて逆数としている。数理的にはセンスがない式で面白みもなさそうである。
ひとたび、計算してみると数の世界の深みがわかる。

 問題はこの級数は収束するかどうか、である。

 なのではであるが、ピックオーバーの真意は違う。
手間隙かけて計算してみるとこんな結果が出てくる。縦軸は級数和の値で、横軸はNだ。

 収束するようなのだが、三角関数のせいで時折、和が飛躍する。このグラフで355の辺りだ。
 4.8に収束するように思えるが、この飛躍が起きるせいで、実は極限値については何ともいえない。
 100万までNを計算してみると「30」になっている。せわしなく飛躍は起きている。

 同書には極限値についての結論がない。飛躍があるのを指摘していて、それを計算しているマニアがいると報告しているだけである。普通のパズル本でない由縁だ。
 極限値について有志は挑戦されたし。


上式に啓発されて調和級数で類似な計算をしてみた。n=2からの和である。

 三角関数のなかに調和級数を入れ込んだ。
 調和級数の和は自然数に近接しても自然数になることはない。よって飛躍はあってもゼロ割はない。

一万までの級数の変化である。

 自然数に近接して何度もジャンプをする様がわかる。級数和も6までになる。
調和級数自体よりも大きいようだ。
この状況からすると「発散」すると推論してもよいであろう。

オズの数学

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