ヘレン・ケラーが初回に来日したおりに宮城道雄と面談したとのこと。とくに宮城はケラー女史の講演にひたすら感動しているのが、印象的である。
ケラー女史のまえで宮城は演奏もしている。ケラー女史はリズムにあわせて手を動かしたと周囲のヒトを驚かせている。
ヘレンとサリバン先生の貴重な映像がある。
それにしても戦前まで「検校」制度があったのには意外な感がある。視聴覚障害者に職を保証する制度が形骸化したとはいえ、伝統的に存在していたのだ。
宮城の随筆でなんとも独自なのは、聴覚触覚での生活世界だ。物売りの声(戦前まではたくさんあったのだ)やヒトの見分けをどうする。海をどう感じるか?ラジオ組み立てを趣味にする?宿屋での夜中のトイレなどなど。
鋭敏にとぎ澄まされた感覚の持ち主だからこその、独自な音の世界があり、芸術が生み出された。
- 作者: 宮城道雄,千葉潤之介
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2002/11/15
- メディア: 文庫
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