霊長類研究 ヒトと動物の差分

アフリカで武器(武器といっても木の枝だが)を日常的に用いるチンパンジーのグループが発見されたそうだ。
しかも近隣の群れも同様な武器を使うそうだ。それは文化といってもいい。
つまり、ヒトは道具を使うサル(ホモ・ファベル)であるという定義というかプライドは、もはや役に立たないわけだ。
あるチンプは水を注ぎ込んで穴の底のピーナッツを取り出すのに成功した。これは特別なチンパンジーではないらしい。
 京大のアイ、アメリカのカンジなど記号や言語を習得した天才チンパンジーもいる。
アイの研究は事細かく報告されている。色、かたち、数字、個体認知、記憶、鏡映による自己の認識の存在と松沢哲郎が至れり尽くせりといった業績をあげているのは、驚きだ。この天才チンプはしかし、愛情には疎いと松沢は感じている。
言語能力もヒトと他の動物との境界性はあいまいになりつつあるようだ。

でもって、研究者たちは「ヒトと動物(=サル)の差分」を学ぼうとする先天的な姿勢というか、幼少期の教育者(=父母)を能動的に見習うことに求めようとしているらしい。
長谷川真理子によれば学習者としての幼児と教育者としての親、および学習対象の三者からなる「参照関係」が特徴的なのだそうだ。
 ヒトは学習するサルである。これが近年の定義なのだ。
クリプキが指摘した「規則のパラドックス」を思い合わせるといくらか興味深い見方ができるようだ。