フセヴォロド・プドフキンの記録映画『チェス狂』

 フセヴォロド・プドフキンの記録映画『チェス狂』
 チェスに興じる人物を国際競技大会の場において、ありのままに描いている。ここに登場するカパフランカは当時のチェスの王者である。カメラで隠し撮りしている。

たとえ古くても、初期ソビエトの芸術作品の代表作が鑑賞できるのは素晴らしい。


 映画史研究家ヒュコアの引用によれば、制作技法はユニークだった。

カメラマンはニューズ映画を撮影しているかのようなふりをしてカパフランカをフィルム
に収め、他の俳優たちの手の動きやチェスそのものの様子をも撮影し、脇役はこのようにして作
られた編集室に運ぴこんだ。そして、巧みなモンタージュ作法で仕上げたのである

映画芸術の社会学―名画はいかに生まれたか (有斐閣選書R (36))

映画芸術の社会学―名画はいかに生まれたか (有斐閣選書R (36))