フェルマー大定理にちょっと類似な事象の準初等的証明

 20世紀後半にワイルズにより解決されたフェルマー大定理は

nを2より大きな自然数とするとき, 方程式X^n+Y^n=Z^nは0とは異なる整数解をもたない.

というものだ。

 ここでは、その複素数版の制約事項付きの証明を考える。証明といっても疎かかつ準初等的な流れなので、真面目にとられないようにお願いしたい。

 X,Y,Zを複素整数としよう。つまり、実数成分も虚数部も整数だ。

            

 これがnは2より大きな素数では成立しないことを、きわめて限定的なケースで証明したい。両辺をZで除して、

            

 このようなZ1、Z2の式にして、Z1、Z2が実部も虚数部も有理数となる解にならないことを示しても同値であろう。

             

で、ここからが制約事項になる。Z1、Z2の絶対値がいずれも「1」だとする。

つまり、複素平面単位円の上にある解に限定するのだ。

 この制約条件のもとでは、著しく問題は簡易化できてしまう。

      

と置き、上式に代入して実部と虚部を分離する。

      

これはnが整数であれば、c1を任意の整数として     

      

となることが導出できる。Z1、Z2はそれぞれこの偏角から求められ、c1を0からn-1まで動かせば、n個の解が出せる。

 では、Z1、Z2が実部も虚数部も有理数にならないことは、ここからどう証明するだろうか?

 ベイカーの定理を利用する。ベイカーの定理の証明は自分の手に余るので専門書を見てほしい。

ja.wikipedia.org

  この系に三角関数の変数が代数的な引数であれば、超越数になるとある。

よって、証明は他力本願であるが、完了となる。つまり、単位円上に有理点をもたないことになる。