辺の長さによる四面体の体積

 おそろしく古い『行列及び行列式』という本に辺の長さだけで四面体の体積を計算する式があった。

 このように6個の辺の長さが与えられているとしよう。

 

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四面体と6個の辺の長さ

 そうすると下式で体積Vを計算できるというのだ。右辺は4☓4の行列式だ。

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四面体の体積の式

 これだけでも面白い。しかしながら、もう少々計算しやすくはならないだろうか?

と考えたのがケチのつけ始めでありまして、時間をかけたけれど前進はしなかったのであります。

 要は四面体版のヘロンの公式みたいにしたかったのだが、中途半端だったわけです。誰か引き継いでくれるかもしれないので、ささやかな結果だけを示しておきます。

 右辺の行列式の展開結果は次式でありまして、

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 22項もある。いくら、これを眺めても手の出しようがないわけであります。

気がついたのは、上の四面体でa とd、 bと e、  cと f が離れたペアの辺であることを注意する。すると上式において特殊な関係にあることがわかり。

 変形の結果、こうなります。

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 これで、少しは見通しがつきます。

最後の4項は四面体の4つ面を構成する3辺の自乗でできてます。

 あとはヘロンと同じくSを導入する。

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かくて、到達した式であります。

 

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  7項目にむりやりまとめわけで、もとの4☓4の行列式のほうが美しいという意見もあります。

 もっと簡明になりませんですかね。

 

 

【参考文献】

   出版年は1961年だけれども、ほとんど戦前の学者の本。昭和の中頃の高等数学では線形代数は影が薄かったですね。今日では受験数学や機械学習の必須アイテムだろうけど。